公開プロポーズ
「よしっ!準備万端」彼はそう言って、一息ついた。
約1年かけて総勢50名のストリングス入の
フラッシュモブを練習し完成させた。協力してくれる
メンバーの都合に合わせてそれぞれの分担で練習した。
私はいわばオーケストラの指揮者のようなものだ。
いよいよ明日は私の誕生日だ。私は彼女にプロポーズする。
付き合いはじめて丁度3年目の記念すべき日にだ。
サプライズでのフラッシュモブ。。
ふふふ、彼女びっくりするだろうな。
そして誕生日。
彼女をレストランに呼び出し食事を済ませ、外に出た。
街路樹はイルミネーションに彩られ、空は夜と夕日との
きれいなグラデーションを演出していた。
そしてフラッシュモブ炸裂!
いよいよだ。
「○○○、初めて会ったときから好きだった。」から始めて
訥々と彼女の素晴らしさを語った。
ここだ!
「どうか僕と結婚して、いつまでも一緒にいてください」
片膝を付きながら指輪を差し出しプロポーズした。
モブのメンバーや、周囲の人たちの歓声があがった。
その時、
不意に彼女から
「ごめんなさい。」
「えっ?」
120%自信があった私はいったい何が起こったのか
意味不明で頭が混乱した。
「ごめんなさい。あなたとは結婚無理」
そう言うと彼女は踵を返し、立ち去った。
あたりはどよめいた。その後、シーンと静まり返った。
私は「ハハハ」と照れ笑いをしながら何事も無かったように
その場を後にした。
モブのメンバーたちがその後どうなったかは
私の知るところではない。。